sugoizochounaisaikinのブログ

管理栄養士と学術博士の資格を持ち、日々腸内細菌の研究をしています。腸内細菌に関することを書いています

関節リウマチと腸内細菌


関節リウマチは、「自己の免疫により、手足などの関節が破壊され、関節痛や関節の変形が生じる病気」です。

日本では人口の0.5〜1%がかかる比較的頻度の高い病気で、女性の方が多く罹っています。

病因は未だわかっていませんが、ウイルス感染、喫煙、食事習慣、その他未知の環境的要因が複雑に関与していると推測されます。

 

わたしたちの身体の中に異物が入ると、免疫が働いて攻撃し排除します。

しかし、腸の中には大量の菌がいて、まさに異物だらけの状態であるにも関わらず、健康な人は正常を保っています。

これは、腸内細菌に対しての免疫を抑制しているからです。

過剰な免疫を是正しているのはTreg細胞という細胞で大腸において多く発現しています。

Treg細胞の発現には腸内細菌の存在が重要で、お腹の中に菌がいない無菌マウスではTreg細胞の割合が少ないことも分かっています。

(論文)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3969237/pdf/nihms564847.pdf

そのため、関節リウマチも、腸内細菌バランスが崩れ、抑制されていた免疫が過剰に働いてしまうことで、関節などの組織に影響が出てきている可能性が考えられます。

 

実際に、関節リウマチ患者の腸内細菌は、多様性が低いことが報告されています。特にPrevotella copriが多く、Bacteroidesが少ないとも言われています。

(論文)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3816614/pdf/elife01202.pdf

Bacteroides fragilisが産生するPSAという多糖体は、Treg細胞の割合を増やすと言われていることから、過剰免疫が働いている自己免疫疾患の人はBacteroides fragilisを始めとするバクテロイデス菌を増やすことが重要かもしれません。

 

Prevotella 属は口腔内の歯周病と関連があるといわれます。歯茎から悪玉菌が体内に入り、炎症を引き起こすともいわれているので、歯磨きはしっかり丁寧に行い、虫歯は放置しておかず早めに治療しましょう。

関節リウマチと歯周病に関係があるだなんておどろきだね!