sugoizochounaisaikinのブログ

管理栄養士と学術博士の資格を持ち、日々腸内細菌の研究をしています。腸内細菌に関することを書いています

短鎖脂肪酸について

最近、短鎖脂肪酸がブームになっているのでその話題です。

短鎖脂肪酸は炭素が6個以下の脂肪酸のことです。

具体的には、ギ酸(C1)、酢酸(C2)、プロピオン酸(C3)、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)などが挙げられますが、ここでは腸内でよく産生される酢酸プロピオン酸酪酸についてお話します。

 

酢酸は、お酢の主成分なのでなじみがあると思います。ツンとした刺激臭があり、酸味があります。

プロピオン酸は、不快な臭いがあります。生ごみの腐敗臭というとイメージつくかもしれません。

酪酸は、直鎖のカルボン酸ですが、非常に不快な臭いがあります。銀杏の臭いというとわかりやすいでしょうか。ヒトはこの臭いに非常に敏感で数十ppmでも感知することができます。

 

これら短鎖脂肪酸は、お腹の中で腸内細菌(それぞれ酢酸菌プロピオン酸菌酪酸)が食物繊維やオリゴ糖を分解して作っています。

短鎖脂肪酸のうち、酢酸プロピオン酸は宿主の体内に吸収されて肝臓や筋肉で代謝されエネルギーとして使われますが、酪酸は主に大腸の細胞内で代謝されます。

短鎖脂肪酸の受容体であるGPR41 とGPR43は、それぞれ腸管の糖代謝制御や脂肪細胞の肥大化を防ぐことから、糖尿病や肥満に効果があると期待されています

https://www.toukastress.jp/webj/article/2019/GS19-17j.pdf

 

酪酸には宿主の免疫系に作用し、制御性T細胞という炎症やアレルギーなどを抑える免疫細胞を増やす働きがあることも報告されています。

www.riken.jp

また、長寿で有名な京都の京丹後市に住む人の腸内細菌には酪酸が多いことも話題になりました。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

宿主に大きな恩恵を与える短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸が作られる原料である食物繊維やオリゴ糖を積極的に摂っていきたいですね。