別のコラムで、風邪のだるさはサイトカインのインターフェロンの副作用と書きました。
sugoizochounaisaikin.hatenablog.com
その一方で、年をとってくると、熱はないのになんとなくだるさや痛みを感じる日が多くなってきませんか。
そういえば、この前もおばあちゃんが「朝晩は節々が痛むのよ」って言ってたわ!
図1は、20歳から102歳の健康な健康男女1327人の血液についてサイトカインを調べたものです。
サイトカインであるIL-6とIL-18が年とともに高まる様子が分かります。
IL-6は、抗体の量を増やすサイトカインで、関節の腫れや痛みを起こす作用があります。
また、筋肉を減らす作用もあり、高齢者のサルコペニアにも関係があります。
IL-18はウイルス感染の対する免疫を強める機能がありますが、同時にインターフェロンと同様に疲労感を引き起こします。
熱はない体調不良(だるさ、節々の痛みなど)も、サイトカインが原因のようです。
腸内細菌は加齢と共に変わる
図2は、腸内細菌の生涯にわたる変化を示しています。
成年期後半から、ビフィズス菌が減り、大腸菌やウェルシュ菌が増えます。
大腸菌とウェルシュ菌の増加は腸内細菌バランスが崩れている特徴的な変化の一つです。
腸内細菌が作る毒素の中にエンドトキシン、別称LPSがあります。
その中でも大腸菌が作るLPSは、消化管バリアの劣化に従い問題を起こす毒性の強い細菌毒素であるため、ここでは悪玉LPSと命名します。
悪玉LPSに対して、バクテロイデスが作るLPSは、悪玉LPSの有害作用を和らげる作用があり、善玉LPSと呼ぶことにします。
腸内細菌バランスの崩れた状態では大腸菌の増加に伴い、悪玉LPSも増えます。
悪玉LPSが腸管に多くあると腸管細胞のバリア機能が弱まります。
ウェルシュ菌もLPSとは異なる毒素で、腸管バリアの破壊に作用します。
バリア破壊により悪玉LPSが体内移行することで、白血球が活性化され、図1のサイトカインの上昇につながります。
以上のことから、体調不良を避けるためには、悪玉LPSを減らし、善玉LPSを増やすことが大切です。
腸内細菌を善玉菌優勢にすることが大事なんだね!